これまでの活動について教えてください。

私は大学の途中から熊谷を離れ、その後10年間は県外で生活していました。しかし、2002年に地元に戻り、両親が35年間営んでいた大衆食堂を引き継ぐことになりました。手作りで改装を進める中で、性別や生活スタイルを問わず、さまざまなお客様が訪れるようになりました。そのとき、大衆食堂は多様な人々が一堂に集まり、食事を共にする場であることに気づき、この場を大切にしたいと思うようになりました。
その後、オーガニックフェスの開催などを通じて地域とのつながりを深めていきました。

こども食堂開催のきっかけを教えてください。

活動の契機となったのは、市内の給食関係者から「夏休み明けにげっそり痩せてくる子どもがいる」と聞いたことでした。まさか自分の身近でそんな問題が起きているとは思わず、大きな衝撃を受けました。
私はこれまで「食を通じて街をデザインする」というコンセプトで、オーガニックフェスなどの活動を行ってきました。しかし、この問題に向き合わずして、その理念を語ることはできないと痛感し、何か行動しなければと思いました。
そこで、当時講師を務めていた立教大学のゼミ生と共に、東京大学主催の「チャレンジ!!オープンガバナンス2022」に参加しました。「全小学校区でのこども食堂開催」をテーマにしたプロジェクトでグランプリを受賞し、その取り組みを基に熊谷市内の飲食店を一軒一軒訪ねました。そして、2024年2月に熊谷市の全小学校区でこども食堂を開催することができました。

ONELOGIの支援が活動をどう広げましたか?

活動を進める中で、支援食材の保管や配送は大きな問題でした。そこで思い出したのが、小・中学校時代の同級生である井ノ瀬社長です。彼に地域の貧困問題や、私たちの活動の意義を伝えたところ共感していただき、倉庫の提供や物流面でサポートをしてもらえることになりました。物価高騰の中、食材を少しでも安く調達するためには、大量に購入する必要があります。倉庫を確保できたことで、より安価に大量の食材を仕入れることができ、より多くの子どもたちを支援できる体制を整えることができました。
また、活動を広めるためには、多くの方に知ってもらい支援を募ることも重要です。井ノ瀬社長に相談する中で、親会社であるナオヨシのクリエイティブチームにも協力してもらえることになり、HPやパンフレット、チラシ、募金箱などのさまざまな資材の作成が実現できました。
皆さんどうしたらもっとより良いサポートができるのか、想いを持って参加いただいています。根本的な活動内容の部分で相談できる仲間を持つことができて心強く、感謝しかありません。これからは食品メーカーも巻き込みながら、廃棄予定の食材など、もったいないを地域に還元する取り組みを広げていきたいと考えています。みなさんの支援が、その実現に向けた安心材料となっています。

制作したパンフレットとホームページ

今後の展望について教えてください。

現在、学習支援や収穫体験など、「お腹を満たしたその先」の活動も広がりを見せています。多くの大人たちが関わることで、未来の地域の形を作っていくことができます。長期的に見ると、ボランタリー精神だけでは持続が難しく、仕組みが必要です。これからは企業もどうあるべきか社会から問われていきます、そんな時に私たちの活動にタッチしていることが企業の価値に繋がるようになっていければと考えています。また、これまで福祉はどこか暗いイメージがありました。しかし、私たちの活動は地域をより良くする前向きな取り組みです。「明るく」「楽しく」「元気」に活動していくことでより多くの人に参加してもらえると感じています。そして支援する側にもさまざまな考え方があるため、オープンガバナンスの考え方を大切にし、参加者が自分の特技を活かしやすい環境を作ることで、活動の輪を広げていきたいです。
地域に住む人々は、みな「地域愛」を持っていると思います。地域愛があれば、隣で困っている人を放っておくことはできません。これは、希薄になりつつある人間関係を取り戻す大切な要素でもあります。
子どもの頃に、お腹を空かせていたときに美味しいご飯を食べさせてもらえた経験があれば、大人になったときに「うちは貧しかったかもしれないけど、誰かが助けてくれたな」と、その場所に愛着を持つと思います。そうした愛情の連鎖がある地域は強いです。そんな連鎖を通して、これからの地域の未来をつくっていきたいと思います。

取材を通して

これまで子ども食堂に対して「困っている家庭を助ける」というのイメージしかありませんでした。しかし、お話を伺うなかで、「未来の街をつくる活動」なのだと気付かされました。子ども食堂を中心とした、熊谷こどもまんなかネットワークの活動は今後ますます大きく広がっていきます。そして、この地域愛を原動力にした明るく、元気で楽しい取り組みは、日本全国の街で活かせるはずです。私たちONELOGIも全国に展開していくなか、それぞれの地域の課題にどのようにむきあっていくべきか、熊谷こどもまんなかネットワークのサポートを通して学んでいきたいと思います。

一般社団法人 熊谷こどもまんなかネットワークについてはこちら
https://kumagaya-kodomo.com