離婚、3人の息子、再出発

離婚してシングルマザーとなり、3人の息子を連れて富山に戻ってきました。上の子は中学生、真ん中は小学生、末の子はまだ2歳。生活を立て直すには子どものためにも働くしかない、という一心で、ちょうど小矢部営業所の事務員募集をしていると知り、飛び込みました。最初は必死で、がむしゃらでした。

事務、入荷管理、経理…何でもやりました。「やれることは全部やる」その思いで、気づけば25年。会社名も変わり、取引先も拡大、拠点数も増え、会社の成長を見届けてきました。

同じ場所で長く働くことは、決して変わらないことではありません。人も、仕事も、常に変わり続けていくので、いくつになっても新しい出会いや挑戦があります。だから私も、年齢を言い訳にせず、これからも挑戦していきたいと思っています。

子育てと仕事、フル活動の毎日

一番大変だったのは、小さな子どもたちを抱えながらのフルタイム勤務です。子どもを保育園に送り、仕事をして、呼び出しがあればすぐに駆けつける。夜ご飯を作りながら宿題を見て、洗濯をして、寝かしつけて、また明日の準備。育ち盛りの男の子が3人もいると、晩ご飯を食べながらもう一度ご飯を炊くなんて当たり前。5合炊きじゃ足りなくて1升炊きに買い換えてもまだ足りない(笑)。家でも会社でもずっとフル稼働でした。

子どもに我慢させているのではないかと、いつもどこかで思っていました。でもある時気づいたんです。頑張っている親の背中を、子どもはちゃんと見てくれているって。

「勉強しなさい」と言うよりも、私が一生懸命働いている姿が一番伝わる。わたしが頑張っていれば、子どももちゃんと見てくれている。それが励みでした。理解ある上司や仲間のおかげで、ここまで続けることができました。だからその分、恩返しがしたいという気持ちもあり、今もここにいます。

時代が変わっても、変わらない大切なこと

業務は紙からデジタルへ。フロッピーからクラウドへと大きく変わりましたが、時代が変わっても、大切なことは変わらないと思います。トラックのドライバーさんが配送に行くときは「いってらっしゃい」戻ってきたら「おかえりなさい」と声をかけ、倉庫の人には「お疲れさま」。そのひと言があるだけで、気持ちよく仕事ができるじゃないですか。挨拶は本当に大事で、声をかけると職場の空気がふっと和らぐんです。忙しくても、何か言いたそうな顔をしていたら「何かあった?」と声をかける。そんな小さな気配りを大切にしてきました。

若い世代に伝えたい、仕事の面白さ

私が面倒な作業をどう効率よくこなせるか、と考えるのが好きなのもあり、言われたことだけをやるのではなく、“もっと楽な方法はないかな”って考えると、仕事が面白くなると思うのです。若い人たちにも、やりがいは自分で見つけてほしいですね。与えられた仕事をこなすだけじゃなくて、自分なりに深堀りをして、工夫したほうがずっと面白いし、成長にもつながる。仕事に「興味」を持ち、自分なりの工夫を楽しんでほしいです。

これから、子育てと仕事を両立していく人へ

完璧じゃなくていい。頑張っている姿を子どもは見てくれています。

取り繕わなくていい、自分らしく生きていけば、それで十分。頑張る姿を子供に見せていればちゃんと伝わります。

両立はたしかに大変です。結婚・出産・育児といったライフステージを経て、働き続けていく中で正解はひとつじゃありません。自分に合った形で、働き方を見つけてほしいです。大事なのは、興味を持つって仕事をする。それだけで、見える世界は変わっていきます。完璧な母親にならなくていい。母親としても、女性としても、社員としても、自分のペースで成長していけばいいんです。

もし、25年前の自分に声をかけるなら

「母としても、社員としても、やりきってよかった。そのまま頑張っていれば、ちゃんと道は開けるよ」と伝えたいです。私みたいに子育てに悩むひとにも、“きっと大丈夫だよ”と届けたいです。

頑張った日々は、いつか自分の力になります。そしてそれは、子どもたちの誇りにもなると信じています。